コンピュータウイルスの歴史

知らないとヤバイ!PCとスマホの情報セキュリティーの話

最初は空想の中で生まれた

 最初にコンピュータウイルスが生まれたのはそもそも空想上の概念としてでした、これは1972年にデイヴィッド・ジェロルドによるSF小説H・A・R・L・I・Eにおいて、「ウイルス」プログラムと、それに対抗する「ワクチン」プログラムが登場しています。それに、ウイルスではなく、動的に活躍するワームについては、1975年のジョン・ブラナー『衝撃波を乗り切れ』などで言及があります。

 コンピュータサイエンスの世界の中ではじめて「ウイルス」という言葉が使われ始めたのは、1984年に当時ニューヘブン大学の学生であったFredCohenが発表した研究論文中といわれています。

ゲームから発展していくウイルス

 他のプログラムを書き換える、といったようなプログラムの起源は1960年代にC言語の開発者としても知られるデニス・リッチーらによって製作されたDarwinやCoreWarsという対戦型のコンピュータゲームが起源となっていて、このDarwinはPDP-1上で動作する仮想機械上で、ターゲットを上書きすることで勝利する、疑似アセンブリコード同士を競わせるプログラムゲームでした。

 当初は生命の定義や人工生命の確率に関しての研究―自身を複製できるものが生命なのか、生命があるために最低限必須な事はなにか(捕食対象の識別、あるいは自己と他者の認識や自己防衛とはなにか)―を研究するための“仮想周囲と生態系”というライフゲームとして研究者に利用されていたのですが、それがプラットフォームの更改によって仮想機械や実装周囲を整備するという皇帝を繋げる形で、今あるウイルスとしての流れへつながっていくこととなったのです。

最初のウイルスは?

 現在ある形での最初のウイルスがどれであるかについては諸説ありますが、1970年代にはCreeperと呼称されるワームがARPANET上で確認されていたそうです。一般的に世界初と言われているものは、1982年に当時ピッツバーグの高校生であったRichardSkrentaによって作製されたElkClonerで、AppleIIにのみ感染するものでした。

 そして、1986年には、パキスタンのコンピューター店を経営するアムジャット兄弟が、不法コピー防止を訴えるために「Brain」を作製し、これがIBMPCに感染する初のウイルスとして登場してきました。

 ElkClonerをはじめ、1980年代初期のウイルスは単に自らのコピーを複製し、フロッピーディスク等を媒介としてコンピュータ間に感染するだけで、時にメッセージを表示して利用者を驚かせる程度の無害なものが多かったのですが、1980年代後半より後は、凶悪なものが広くはびこるようになり、現実的な被害をもたらす要因になりはじめたのでした。

 1988年にMorrisWormが稼動しはじめたばかりのインターネットを通して被害を広げた件と、1992年3月6日にMichelangeloが感染者のデータを一斉に破壊した件について、危機なコンピュータプログラムによる現実的な脅威として、マスコミ等は大きく報道しました。1999年には電子メールの添付ファイルによって感染する初のウイルスMelissaがつくられ、感染力が飛躍的に増大しました。2001年にはサーバ上のセキュリティホールを悪用するCodeRedが登場、同年にはウェブサイトを閲覧するだけで感染するNimdaも製作され、爆発的に広がっていきました。

 一方、ウイルスを除去する「ワクチン」の開発もウイルスの進化と平行して進められ、1988年には最初期のアンチウイルスソフトウェアの1つDr.Solomon'sAnti-VirusToolkitがリリースされています。今日では、単なる愉快犯的ウイルスから、クレジットカード番号等の個人情報を引き出して悪用するものまで、数万種のウイルスが存在していると言われています。2004年の段階では、アンチウイルスソフトウェアを含めたコンピュータセキュリティの市場規模は2008年には全世界で数十億ドルに達するものと予測されましたが、実際には更に多くの市場規模を作り出していっています。

ウイルスの目的

 当初はくだらないメッセージを表示して世間を騒がせて目立つという、愉快犯的な目的で作られたと思われるものばかりで、現在もそういったものが多数をしめていますが、中には強盗を働くために作られたものなどもあります。前者であればハードディスクをフォーマットしたり、BIOSを書き換えたりされてコンピュータが起動しなくなることもありますが、データのバックアップを取っていれば修復は可能です。しかし、後者だと中にはコンピュータに侵入してパスワードやデータを盗み出したり、バックドアを製作してコンピュータの制御を奪ったりしてしまうような悪質な目的のものも存在します。

 派手に騒ぎ立てるようなウイルスは発見が早いが、こっそりと活躍し微妙な改変を加えるようなものは発見が難しく対処が遅れることもあります。ウイルスの製作自体は高度な技術がなくても可能で、スクリプトで製作したウイルスは改変が容易で、またオープンソースのものや殆どのプラットフォームで動作可能のため、様々な亜種が登場しています。

 また近年では、別の目的のための手段としての利用がみられます。一種のP2P用ネットワーク(ボットネット)を形成する事で、感染したコンピュータの情報を盗んだり、DoS攻撃やスパムの発信プラットフォームとした物を製作・流布させたりするグループも幾つか確認されています。金銭目的の犯罪の道具として使われる点で、同じ目的のスパイウェアやマルウェアとの垣根も低くなってきています。

著名なコンピュータウイルス